
「武器を取れ!」と訴えるカミーユ・デムーラン
デムーランの演説
7月12日の日曜日の朝の10時まで、パリではまだ誰もネッケルが追放されたことを知らなかった。そのことが洩れたのは、パレ・ロワイヤルにおいて貴族の扱いを受けていた者が、脅されて口にしたからである。これが確認されると人から人へと伝わり、同時に怒りも広がった。その時たまたま、正午を知らせるパレ・ロワイヤルの大砲が轟いた。「この轟音が、人々の心にもたらす不安と沈鬱な感情を言い表すことはできない」と、新聞「国王の友」が書いている。カッフェ・フォワから出てきたカミーユ・デムーランという青年が、いきなりテーブルの上に跳び乗り、そして剣を抜き、拳銃を高々と掲げながら叫んだ。「武器を取れ!シャン・ド・マルスのドイツ人兵が、今夜市民を虐殺するためパリに侵入しようとしているのだ!みんなリボンをつけよう!」デムーランは木から一葉をもぎ取り、それを帽子に付けた。そこにいたみんなも同じようにした。木はたちまちに裸になった。
第6章 パリの蜂起
危機にあるパリ。1789年7月12日、爆発するパリ。活動停止のヴェルサイユ。軍隊の挑発。パリは武器をとる。7月13日、国民議会が国王へ上奏するが無意味に終わる。パリ選挙人たちが、武装を許可。市民衛兵の組織化。選挙人たちの躊躇。火薬を手に入れた人民が、銃を探し求める。宮廷の保安。