もはや不足しているのは銃だけである。パリには、巨大な銃保管庫があることを人びとは知っている。知事のベルチエは、3万丁の銃を取り寄せ、そして10万個の薬莢の製造を命じていた。市長は、州のこの大きな動向について知らないはずはなかった。保管庫の在り処を激しく迫られて、シャルルヴィルの工場が3万丁の銃を約束し、さらにそのうちの1万2千丁が直に届くことになっていると答えた。これが嘘であることを裏付けたのは、グレーヴェ広場を横切った数台の荷車である。そこには次の文字が貼り付けてあった、「大砲」。これは銃に違いない。市長は銃を箱につめて、保管庫に入れさせたのだ。しかし銃の分配は、フランス衛兵を使いたかったのだ。人びとは兵舎に走った。しかし人びとの渇望を察した士官たちは、一人の兵隊も渡さなかった。それで選挙人たちは自分たちの手で、分配しなければならなかった。彼らは箱を開けた!そこに見いだしたものは?ぼろ布だけだった。人びとの怒りは頂点に達した。裏切りだと叫んだ。返答に窮したフレッセルは、人びとをセレスタンとシャルトルーの僧院へ向かわせることを思いついた。「僧侶が、武器を隠し持っている」。そこで人びとを待っていたのは、新たな失望だった。シャルトルーでは、門をあけて全てを見せた。くまなく探したが、一丁の銃も出てこなかったのである。
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食料の問題は、武器の問題と同様に、差し迫ったものになっている。選挙人に召喚された警察中尉は、食料の入荷については、自分は全くあずかり知らぬことだと言った。市は出来る限りの自給を考えなければならなかった。パリの周辺は、すべて軍隊が固めている。食料を運んでくる農民や商人は、危険に身をさらしながら、ドイツ語しか話さない傭兵が占拠する宿駅や野営地を通過する。そして無事に着いたと思っても、なお市門を通過する困難が彼らを待ち受けているのである。
7月13日月曜、ギヨタン議員が、ついで二人の選挙人がヴェルサイユに行き、議会に「市民衛兵の創設に力を合わせる」よう要請した。議会は二つの代表団を派遣することを決議した。ひとつは国王へ、もうひとつはパリへ。議会が国王から引き出した回答は、素っ気なく敵意すら感じるもので、流血が重なる現在の状況からして理解しがたい内容であった。曰く、「国王が講じた措置は、いかなる変更もできない。その必要性を判断するのは国王だけである。議員がパリにおいて影響力をもつことは、いかなる良い結果も生まない」。議会は憤慨し、次のことを決めた。1.ネッケル氏の追放は、国民に遺憾の念を引き起こしている。2.国民は軍隊を遠ざけることを強く求めている。3.大臣たちだけでなく国王の助言者たちも、現在の不幸な状況に個人的に責任がある。その地位がいかなるものであれ。4.どのような権力も、破綻というおぞましい言葉を使う権利はない―第3項はおそらく王妃と王弟たちを指したもので、最後の項は糾弾である―。議会はこのように威厳ある態度をとった。議会は軍隊の包囲の中で、丸腰で法のみに支えられて、夜に予想される解散あるいは排除の脅威にさらされながら、大胆にも敵の顔面に、彼らにふさわしい真の名を貼り付けた。破綻した者たちという名を。