グラン・ゼコール フランス革命のさなかの1794年、共和国の科学技術の向上に貢献する技術者・研究者を育成する理工科学校(エコール・ポリチック)と、高等教育に携わる教育者・研究者を育成する高等師範学校(エコール・ノルマル・シューぺリュー)が創立されました。これらはグラン・ゼコールと呼ばれ、バカロレアに合格すれば入学できる一般大学とは違い、難しい選抜試験を突破したものが入学できる名門校です。グラン・ゼコールの卒業生は、就職した企業や公共機関では、はじめから管理職コースを歩むのです。
また1945年にドゴール大統領が、あらたに高級官僚を養成する目的で設立した国立行政学院(ENA)には、グラン・ゼコールの卒業生が集まり、多くが政治家や大企業のトップとなっています。社会党の指導部にもENA出身者が多く見られます。
エリートと非エリートの階層社会政界に進出しても企業に天下りしても、6年間は元のポストと給与が保障される特権や、グラン・ゼコールの出身階層が社会の上層部に限られる傾向にたいして批判があるのも事実です。1995年に緊縮財政による社会保障の削減案を打ち上げ、大ゼネストによって退陣させられたジュぺ首相は、最後まで国民の反発を理解できなかったといわれていますが、こういうこともエリート層の一面がうかがえるのではないかとおもいます。
このようなエリートと非エリート(庶民)との階層社会の存在も、自由・平等・友愛をかかげるフランス共和国の現実でもあるのです。逆に大学を卒業した青年が、たとえば職人になりたいと思っても、職人になる道は職業高校の卒業生に占められるので、フランスではその道を絶たれるのです。

朝靄の中のイル・サンジェルマン公園

ひとつだけけなげなに紅葉していました

不思議な紅葉を見つけました

冷気に触れてセーヌの川面から蒸気が上がっていました