
「武器を取れ!」と訴えるカミーユ・デムーラン
デムーランの演説
7月12日の日曜日の朝の10時まで、パリではまだ誰もネッケルが追放されたことを知らなかった。そのことが洩れたのは、パレ・ロワイヤルにおいて貴族の扱いを受けていた者が、脅されて口にしたからである。これが確認されると人から人へと伝わり、同時に怒りも広がった。その時たまたま、正午を知らせるパレ・ロワイヤルの大砲が轟いた。「この轟音が、人々の心にもたらす不安と沈鬱な感情を言い表すことはできない」と、新聞「国王の友」が書いている。カッフェ・フォワから出てきたカミーユ・デムーランという青年が、いきなりテーブルの上に跳び乗り、そして剣を抜き、拳銃を高々と掲げながら叫んだ。「武器を取れ!シャン・ド・マルスのドイツ人兵が、今夜市民を虐殺するためパリに侵入しようとしているのだ!みんなリボンをつけよう!」デムーランは木から一葉をもぎ取り、それを帽子に付けた。そこにいたみんなも同じようにした。木はたちまちに裸になった。
スポンサーサイト