これは、Education a la citoyennete (市民としての資格を学ぶ)という教科書で、小学校3年から5年までが対象です。(フランスでは小学校は5年まで)
尊重される権利
尊重の反対語は、侮辱、軽蔑です。人間の共同体は、世界中どこでも、みんなが尊重される権利をもつということを認めています(世界人権宣言)。最も強い人、最も美しい人、最も頭がよい人、最も速く走れる人、最も裕福な人、そして私たちと同じ考えをもつ人、同じ宗教をもつ人だけを尊重するということは考えられないことです。その人の身長や、肌の色や、出身や、職業や、意見などによって、誰かを侮辱することは禁じられています。
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広間に集まった大勢の人びとは、流血を求めたわけではなかった。血が流れるのを呆然として見ていた、と目撃した者が語っている。皆、この気が狂いそうになるほど奇怪で悪夢のような惨状を、口をぽかんと開けて見ていたのである。中世のあらゆる時代の武器を、そこに見ることができた。数世紀がここに居合わせているのである。エリーはテーブルの上に立ち、兜を被り、三ヶ所で折れ曲がった剣を手にしていた。さながらローマの戦士といったところである。捕虜に取り囲まれたエリーは、彼らのために懇願した。フランス衛兵も、彼らに対する褒美として、捕虜に慈悲を与えるよう頼んだ。

銃殺される市長のフレッセル

解放者におどろく囚人

勝利者に導かれて、パリの町を行進するバスティーユの囚人たち

市長のフレッセル

バスティーユの攻防

バスティーユ司令官ドゥ・ローネー
チュリオは橋を渡ってはならなかった。司令官が許可しなかったからだ。しかし彼は橋を渡った。最初の中庭を、瞬く間に突き抜けた。そして二度目の拒否に遭った。ここも通過した。二つ目の濠を、跳ね橋を使って渡った。三つ目の中庭を塞ぐ、大きな鉄柵の前まで来た。中庭というより、八つの塔がそこで互いに連結した巨大な竪坑のようなもので、壁に囲まれていた。これらの不気味な巨塔は、中庭に面していなかった。つまり窓がなかったのである。塔の足の部分が陰になっていて、その暗い空間が、囚人にとって唯一の散歩の場所であった。深い地底に迷い込んだように、巨大な石塊に息を詰まらせながら、壁の冷ややかに露出した部分を見つめるしかない。ひとつの方角に、時計が備え付けてあるのが見える。鎖で繋がれた二人の人物の、鉄製の像が、文字盤を挟むように立っていた。ただでさえ遅い時の歩みを、さらに重くするかのように。
そこに装填済みの大砲、守備隊そして司令部が置かれていた。

チュリオ

アンヴァリッド(廃兵院)からの武器の略奪
ところで、バスティーユは、この人民にたいして何だったのか?人民と呼ぶことができる者は、ほとんど投獄されなかったのである。しかし正義は人民に語りかけた。そして一つの声が、さらに強く心に語りかけた。それは人道と慈悲の声である。このやさしく訴える声は弱々しそうに見えて、すでに10年もの前からバスティーユの塔を倒壊させようとしてきたし、土台を揺るがしてきたのである。
数世紀が圧縮されたような、この半世紀の間に起こった全てのことを、歓喜そして苦悩とともに目にしてきた老人たちは、次のように断言するのである。あの偉大で国民的な日に続く、共和制や帝政の下で起こったことの全ては、部分的で全員一致のものではなかった、7月14日のみが人民全体の日であったと。それ故この偉大なる日、人類の永遠なる祭典は、今も生き続けているのだ。解放の最初の日であったのみでなく、和合においても至高の日であったが故に!

バスティーユ城塞
難攻不落のバスティーユ。バスティーユ攻撃は人民の意志。バスティーユに対する人民の憎悪。バスティーユ奪取を知った世界の歓喜。―アンヴァリッド(廃兵院)での銃の略奪。防御を固めるバスティーユ。バスティーユに降伏を促すチュリオ。無益に終わった選挙人の数度にわたる代表団派遣。最後の攻撃、エリーとユラン。遅延のおそれ。裏切られたと思った人民が、市長と選挙人を脅す。市庁舎における勝利者たち。バスティーユはいかに降伏したか。司令官の死。死刑に処せられた捕虜。恩赦を受けた捕虜。人民の寛大さ。
これは、Education a la citoyennete (市民としての資格を学ぶ)という教科書で、小学校3年から5年までが対象です。(フランスでは小学校は5年まで)
必要な規則
すべての人間社会は礼儀の規則をもっています。これは、みんなが共同生活をうまく送れるようにするためにあるのです。この規則は、場所と時によって違います。規則は、その時々で変わるのです。テーブルでは他の人と会話しますが、映画館ではしゃべってはいけないというふうに。
規則は変化します。たとえば、携帯電話は新しい規則を生み出しました。公共の交通機関の中や劇場などでは、他の人の迷惑にならないように電源を切らなければなりません。
礼儀は、日常生活をより快適にするのに役立ちます。誰も、並んでいるときに体をぶつけたり、後から来た人に先を越されたりするのはいやです。
これは、Education a la citoyennete (市民としての資格を学ぶ)という教科書で、小学校3年から5年までが対象です。(フランスでは小学校は5年まで)
私のもの
私たちが贈られたり、買ってもらったりしたものは、私たちの持ち物です。私たちは、それを自由に使えます。しかし壊したり、無駄遣いしてもよいということではありません。そうすることは、私たちに贈ってくれたり、買ってくれたりした人たちにたいして、敬意を払わないということなのです。
これは、Education a la citoyennete (市民としての資格を学ぶ)という教科書で、小学校3年から5年までが対象です。(フランスでは小学校は5年まで)
発見の時
フランスでは、生徒は二人に一人の割合で、昼食を食堂でとります。生徒の多くは、食堂での食事を批判します。たしかに料理する人は、両親がするように、一人ひとりの好みを考えて食事を用意することは出来ません。それに数十人分の料理をつくるのは、家庭で何人分かをつくるよりもずっと難しいのです。要するに食堂では、私たちが自分の家で日頃食べない料理をしばしば食べます。しかし食堂は、まさに新しい料理を発見できる機会の場であるということです。
これは、Education a la citoyennete (市民としての資格を学ぶ)という教科書で、小学校3年から5年までが対象です。(フランスでは小学校は5年まで)
会話し、遊ぶ時間
毎日、朝と午後に、そして食堂で昼食をとる生徒のために昼食の前後に、ベルが休み時間を告げます。休み時間は、くつろぐ時間であり、その後クラスで集中するために欠かせないものです。それはまたクラスの友達、あるいは学校の友達を見つける機会でもあります。おしゃべりし、心を打ち明け、一緒に遊ぶことができるのは、この時間であり、一人に限りません。
これは、Education a la citoyennete (市民としての資格を学ぶ)という教科書で、小学校3年から5年までが対象です。(フランスでは小学校は5年まで)
投票は何に役立つのか?
投票することは、一つの意見を表明すること、一つの集団の選択に参加することに役立ちます。投票によって、一人ひとりの意見を集め、最多数の意見によって選択された決定を得ることができます。
大人は市町村議会議員、代議士、欧州議会議員、そして共和国大統領を選ぶために投票します。
学校では生徒が、読書コンクールの時に、どの本にするか決めるときに投票します。あるいは教室から退出するときの出口を決めるため、学年末の出し物のテーマを決めるため、学校共同組合の金をどう使うかを決めるため、そしてクラスの代表を選ぶために投票します。
これは、Education a la citoyennete (市民としての資格を学ぶ)という教科書で、小学校3年から5年までが対象です。(フランスでは小学校は5年まで)
対話、討論
人びとが情報を交換する時、対話が成立します。それは生徒が教師に答える時、あるいは休み時間の校庭や食堂で、議論したり、自分たちがしたことを語り合ったりする時です。
何人もの人が、ある問題について議論をする時間を得て、自分の意見を述べ、他の人に理解してもらおうとする時、討論が成立します。それは、生徒がグループをつくり勉強したり、クラスの生活を良くするために議論する時です。
討論は時々、共通の結論を得る目的でおこなわれます。すなわちクラスの規則を練り上げたり、責任を分担したり、クラスの代表を選んだり、教室から退出する場所を決めたり、ゲームについて意見を一致させたりするときです。
紹介する本がころころ変わってすみません。この本は8歳くらいの子どもに、フランスの共和制(国)を学ばせるLa République à petit pas(共和制ー小さな一歩)という本です。しばらく「市民としての資格」と交互に掲載していきます。
これは、Education a la citoyennete (市民としての資格を学ぶ)という教科書で、小学校3年から5年までが対象です。(フランスでは小学校は5年まで)
私のクラス、私の学校
私たちの友達の一人が、心配事を抱えていたり、悲しみに浸っている時、あるいは逆に、喜びを感じている時、私たちはその友達とともに、悲しい気持ちになったり、あるいは嬉しくなったりします。もっと一般的に言えば、クラスや学校で起こることの全てに、私たちは関わっているのです。
これは、Education a la citoyennete (市民としての資格を学ぶ)という教科書で、小学校4年(フランスでは小学校は5年)、10歳くらいが対象です。
クラスでの生活
私たちは同じクラスの中で、通常は一年間、あるいは数年間、一緒に過ごします。そして同じ教師とともに学習し、みんな同じことを学び、一緒に勉強します。生徒の何人かは私の友人で、他はただの仲間です。しかしみんなで一緒にグループをつくります。
ときどき、時間をクラスの生活に当てます。これはまず第一に、私たちがともに生き、ともに勉強する方法について、そして私たちの間で問題が起こったときに解決する方法について合意に導く機会です。
これは、Education a la citoyennete (市民としての資格を学ぶ)という教科書で、小学校3年から5年までが対象です。(フランスでは小学校は5年まで)
規則:必要な契約
規則は、生徒、教師、学校で働く他の人びと、そして親が、共に生活するための秩序をつくります。規則がないと、学校はめちゃめちゃになります。
規則は、学校の全員に対して同じように適用されます。すなわち全員の平等を保障します。いくつかの規則は、フランスの全ての学校に共通しています。例えば、学校は6歳から16歳までの全ての子どもに義務づけられており、教師は国民教育省によって決められた教育計画の中にあるものを実行しなければならないという規則です。

これは、Education a la citoyennete (市民としての資格を学ぶ)という教科書で、小学校3年から5年までが対象です。(フランスでは小学校は5年まで)
新年、おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。