
1936年6月11日、ロレーヌの自動車工場におけるストライキ
関連ファイル―1936年:改革の効果と限界
恐慌の時期に顔を見せた1936年の「晴れ間」は、夏のストライキと工場占拠が引き起こした社会の緊張、翌年の「ブルムの実験」の失敗にもかかわらず、国民的記憶のなかに強烈なインパクトを残した。
とりわけ工業労働者にとって人民戦線の出現は、改革によって実現した社会進歩の望みを体現するものであった。改革は、迅速かつ労働者に有利に進められたからである。有給休暇の創設と労働時間の短縮は、それまで富裕階層のものであった余暇の権利の道を拓き、労働者に新たな尊厳を与えた。
しかしながら改革はわずかな経済効果しか生まなかったので、人民戦線はもっぱら象徴的な意味において受け取られた。
有給休暇
どこでも同じような反応か返ってきた。「夫と子どもたちと一緒に、ブルターニュの実家に行くことができたんです。両親とは、もうずいぶん会っていなかったのです」。
「それで満足しましたか?」
「それはもう!子どもたちも満足しました」。
作業所の労働者たちは、自分たちの旅行について話した。
大柄の寡黙で粗野な感じの労働者が言った。「そう、これもあなたたちの人民戦線政府のお陰です!」
俺たちはこれまで一度も、休暇をとったことはなかった」と、もう一人が私に明かした。
夕方、我々は郊外の大工場の出口にいた。学校の最後の授業が終わって、生徒たちが戻ってくるらしかった。ヴァカンスに出発する子どもたちは、みんな期待とと思いがけなさがまじった嬉しさを表していた。
笑い声とともに、長旅に出発する別れの挨拶が聞こえた。
「君は、何をするの?」
「いつ発つの?」「どこに行くの?」
ついに実現できた、すばらしい夢。ヴァカンス?じっさい労働者にとっては、望み、夢でしかなかった。今日、人民戦線政府によって現実となるのだ。
社会党SFIOの機関誌「人民」、1936年8月1日

人民戦線―「私たちの生活を変えた100日」
人民戦線70周年の2006年に発行した左翼系週刊誌 Le Nouvel Observateur の表紙

人民戦線のバランスシート
右翼に属する組織である国民共和主義者のプロパガンダ・ポスター
「人民戦線がフランスにもたらしたものは、これです」
右手に財政、左手にストライキ、暴動、失業、生活費高騰、赤字

左の表は工業生産高、右の表は失業者数(千人単位)
<問題>
1. Nouvel Observateur誌は、なによりも人民戦線を記憶にとどめることをのぞんでいるのだろうか?
2. あなたが人民戦線の時代に労働者であったと想像しなさい。そしてNouvel Observateur誌があなたに思い出を書くように求めたとする。記事を書きなさい。
(結論として)
3. 次の側面を考慮しながら、人民戦線のバランス・シートを作成しなさい。右翼に対する左翼の共同の闘い、経済改革、社会的に獲得したもの、時代の全体的な雰囲気。
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