
安倍晋三首相の助言者である作家の曽野綾子は、労働移入を主張。ただし居住は隔離。
いまどき、日本が「アパルトヘイト」について論争
安倍晋三首相の助言者である作家の曽野綾子は、労働移入を主張。ただし居住は隔離。
日本でアパルトヘイト?安倍晋三首相に近いひとりの作家は、いま上の空である。日刊紙産経新聞において、「受け入れましょう。ただし距離をもって」と題した論説(ママ)のなかで、曽根綾子は、労働移民の日本への受け入れと同時に、隔離を主張した。
国の人口の不足を認めた彼女は、大量の外国人労働者の入国を望んだ。そしてアパルトヘイト廃止の頃の、南アフリカの居住形態を論じ、人種の隔離を正当化した。「20年前か30年前、私は南アフリカに興味を持って以来、人種は分けて暮らす方がよいと確信した。黒人、白人、アジア人というふうに」と彼女は説明した。そしてヨハネスブルグのマンションへの侵入について詳しく語り出した。「普通の白人やアジア人の家族だと、男と妻と何人かの子どもが住む住居に、20人あるいは30人の黒人が住んだ」。そして結論部分で次のように言う。「人は多くのことを一緒にできる。仕事、研究あるいはスポーツ。しかし住むことに関しては、分けた方がよい」。奇しくも、この記事が出されたのは、ネルソン・マンデラの釈放25周年の日である。
日本の超保守の人物である曽根綾子は、安倍晋三に極めて近い。2007年に権力の座から去った時に、安倍は彼女の家で、公職を離れて初めての夕食をとった。そして2013年に、曽根を教育改革委員会のメンバーに任命した。曽根は長い間、アフリカ発展の援助プロジェクトに資金を提供するNGOを主宰してきた。彼女が寄稿した産経新聞(読者数160万人)は、首相の信条にもっとも忠実さを示す新聞をである。
「研修生」すなわち移民労働者の、著しい不安定さ
曽野綾子の論説にたいする他の大手メディアの反応は鈍かった。火をつけたのは、この論説の英語訳であった。そして堰を切ったようにメディアが取り上げ、外交問題にもなった。手短に言えば、平均的日本人の中に、外国人の移住に対する日本の居心地の悪さを読み取ることができる。様々な指標から、日本は依然として「鎖国」状態である。外国人は、日本の人口の2%にも満たない。2013年の外国人との結婚は、全体の3.2%。片親が外国人の子どもの出生は、全体の1.9%である。帰化はスズメの涙ほどである。1億2千万人の人口をもつ日本は、800万人のスイスの3分の1である。政治的亡命者の受け入れは、2013年に6件と、ないにも等しい。
歴代首相のなかで最もナショナリストである安倍晋三は、移民政策に不熱心なことを明白に示す。しかし熟練の肉体労働者(建築、農業、医療)に支えられていた日本の産業は、極端な人手不足に陥り、必要とした「人手」は外国人であった。この障害を切り抜けるために、日本は1993年に、暫定的に移民労働者を「研修生」(5年まで)として受け入れる計画を作成した。理屈としては、彼らにノウハウを叩き込んで、出身国に帰ってできるだけ活用するということであった。この見かけ上の寛大さが、暗黙の搾取システムを覆い隠した。ほんらいは日本の労働組合が責任を持つところを、「万国の労働者」の団結に魅力を感じなくなった労働組合は、いまだに移民を雇用と賃金に対する脅威として捉える。
これらの「研修生」は労働法で保護されることになっているが、良心的とはいえない「案内人」の支配下にあり、法務省も彼らに目をつむっている。日本に来た以上彼らには、原則として雇い主を変える権利はない。2013年の労働調査では、「研修生」を雇用している企業の80%が、彼らを酷使していた。賃金未払、過労死、労働現場への不当監禁などが明らかになった。移民労働者たちの抗議は、「やや強い」ものだった。彼らの出身国も含めて、他のアジア諸国よりも日本の方が、まだマシなのである。
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