*これはフランスのLycée 1(高校2年に相当)で使われる文学・社会経済コースの仏独共同教科書です。
ムッソリーニによるファシズムの基本的原理
ファシスト国家における個人 反個人主義のイデオロギーであるファシズムは、国家を守る。ファシズムは、個人が国家の中に溶け込むのに応じて、個人に好意的になる。国家は個人の歴史的存在の中に、普遍的な意識と人間の意志を体現するからである。ファシズムは、古典的な自由主義に反対する。古典的自由主義は、絶対主義に逆らおうとする欲求から生まれたものであり、国家が人民自らの意識と意志になって以後は、その歴史的な使命を終えたのである。自由主義は、孤立した個人のために国家を否定する。ファシズムは、国家が個人の唯一真のリアリティであることを証明する。もし自由が現実の人間の権利であり、個人主義的自由主義が頭のなかにもっている抽象的な実体ではないのであれば、ファシズムは自由に好意的である。それは人が考えうる唯一の自由であり、国家の自由と国家の中の個人の自由である。なぜならば、ファシズムにとって、全ては国家の中で決定されるからである。人間的なもの、知的なものはいっさいそれ自身では存在しないし、国家の外で何らかの価値をもつものなど何もない。この意味では、ファシズムは全体主義である。そして全ての価値を一つにまとめ、凝縮するファシスト国家は、人びとの人生丸ごとに意味を与え、人生の開花へ、快適な人生へと導く。
ベニト・ムッソリーニ「ファシズムの精神。源泉」 Horst Wagenfuhr 1943
アディス・アベバ征服についてのムッソリーニの演説 士官、下士官諸君!アフリカ、イタリアにいるわが国軍の兵士諸君。革命の途上にある黒シャツの諸君。我々の祖国に住むイタリアの男性、そして女性の皆さん。私の話をお聞き願いたい!
これから私があなた方にお伝えしようとする決定、ファシズム大評議会の賛同を得たこの決定は、偉大な出来事の始まりを記すものであります。今日、ファシスト紀元14年の5月9日、エチオピアの運命が決まるのであります。
我々の輝く剣は、あらゆる難題を解決し、アフリカにおける勝利は、祖国の歴史にまるごと組み入れられるのです。レギオン(古代ローマ軍)の兵士たちが、死んだ者も生き残った者も、それを夢に見、それを望んだように。ついにイタリアは自分たちの帝国を持ったのです。この帝国は、意志とローマの束faisceau [ファッショ] による権力という不滅の槍を携えているのです。この14年間、イタリアの勇敢な若い世代の、力強くあふれんばかりのエネルギーがめざした目標は、まさにこのことでありました。平和の帝国。[・・・] エチオピアのすべての人民のための文明と人間性の帝国。これはローマの伝統の中にあり、勝利の後、人民を帝国固有の運命に結びつけたものであります。
ローマのPalazzo Venezia宮殿のバルコンでムッソリーニがおこなった演説 1936年5月9日
学習の足跡 Pistes de travail1.
ファシスト国家において、個人に割り振られる役割はどういうものか?ムッソリーニのまわりで組織された指導者への崇拝は、何に基づくのか? (「ムッソリーニによるファシズムの基本的原理」および写真「新たなローマ帝国主義」<前回エントリーの写真>を参照しながら)
2.
権力についてのムッソリーニの考えを頭において、彼が拠り所にした歴史的典拠について説明せよ。(「アディス・アベバ征服についてのムッソリーニの演説」および写真「新たなローマ帝国主義」を参照しながら)
(結論として)
3.
ムッソリーニの浮上と彼の権力の強化について、もう一度描写せよ。
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