この時期、イギリスの農業学者アーサー・ヤングが、物好きにも農業を調査するためにフランスに滞在していた。この活動的だが風変わりなイギリス人は、パリが深い静寂に包まれているのに驚いた。馬車は一台も走っておらず、人もほとんど見かけることはなかった。しかし一歩屋内に踏み入れば、そこは凄まじい喧噪の渦であった。それが屋外の人の気配を奪っていたのである。ヤングは、その騒がしさに度肝を抜かれた。彼は驚愕しながら、騒音の首都を歩いた。そしてこの熱気の中心であり、煮えたぎる大釜のようなパレ・ロワイヤルに案内された。そこでは1万の人間が同時にしゃべり、1万の知性が行き交っていた。この日は人民にとって勝利の日だったのである。花火が上がり、祝賀のかがり火が焚かれた。さながら揺れ動くバベルの塔のような光景を前に目が眩んで呆然となったヤングは、足早にそこから立ち去った。しかし一つの思想に団結したこの人民の、あまりにも巨大で活気に満ちた興奮は、やがてこの旅行者の心を捉える。ヤングは自分の変化を意識することなく、少しずつ自由の希求に同化していった。イギリス人は、フランスのために祈った!
すべての者が、我を忘れた。この場所、スペクタクルが繰り広げられるこの不思議な場所もまた、この瞬間には己を忘れたようにみえる。パレ・ロワイヤルはもはやパレ・ロワイヤルではなくなったのである。悪徳さえも、あまりにも真摯で崇高な熱情の中で、熱狂の炎に焼かれ、一瞬のあいだ純真となった。最も堕落した者たちは、空を見上げた。彼らの過去、その悪しき考えは、少なくとも一日は姿を消した。では誠実になったのか?彼らは誠実にはなれなかった。しかし世界の自由の名の下に、自分が雄々しくなったと感じたのである!人民の友、お互いに兄弟である者たちは、もはや利己主義のかけらもなく、全ての者が全てを分かち合うつもりでいる。
この群衆の中に自分の利害しか考えないアジテーターがいたことも疑えないことである。貴族の少数派で、野心家で騒々しいラムトゥ家とドュポール家は、自分たちのパンフレットと金によって人々を扇動した。そしてそれに輪をかけた悪党どもが加わった。それはすべてオルレアン公の窓の下で、この貪欲で下劣な陰謀家である宮廷人が見ている前で起こったことであると言っておくべきであろう。あぁ!我々の革命に憐憫の情を覚えない者がいようか?無邪気で、私心がなく、崇高な運動に。いつかそのうち自分たちの利益になると信じる人々が、愛情と切望のまなざしで見守るこの運動に!
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