イル・サンジェルマンの散歩道

単に市民権といっても差し支えないようにも思えます。ちなみにこの言葉は、どの法律の条文にもないそうです。しかし市民教育の教科書は、éducation civiqueの他に l'éducation à la citoyenneté と名付けているのもあります。

さきほど単に市民権と言って差し支えないと言いましたが、少しこれに関する本を読んでみると、そうでもなさそうです。citoyennetéを、単に政治的かつ市民的権利に矮小化すべきではないと書いてあります。ではどのように解釈すればよいのでしょうか？

Danièle Lochakという学者は、citoyennetéには三つの面があると提起しています。

―政治的、経済的、社会的権利の行使にあたっての平等としてのcitoyenneté、
―社会的生活への参加としてのcitoyenneté、
―国民の主権の行使としてcitoyenneté。

　やはり単なる「市民権」ではないようです。形式よりは原理、手続きよりは確信を重んじるフランス共和制が、やはりここにも貫かれているように思われます。