(しんぶん赤旗 2005年5月14日付)
福島原発、地震大丈夫か<中>原発問題住民運動全国連絡センター代表委員 伊東達也
津波だけでなく地震そのものに対する対策の見直しが急務となっています。
兵庫県南部級に耐えられない 政府と東電は、原発は岩盤に直接建設しているから、絶対大丈夫と言い続けています。しかし国の耐震設計指針は、1995年1月の兵庫県南部地震の際に、岩盤上の地震動の応答スペクトルによって成り立たなくなっています。さらに2000年10月に、活断層がないと思われていた場所で発生した鳥取西部地震のときも、地下深くの岩盤に設置された地震計で記録された地震動が、現の圧の耐震設計値を大きく上回りました。
原発の耐震設計の見直しは急務です。ましてや福島原発の基礎岩盤は、富岡層と呼ばれ、土木工学的に軟岩、中硬岩、硬岩に分類した場合の、「軟岩」にあたるという地質上の問題があります。
福島原発の立地地域は、地震予知のための特定観測地域の一つ「宮城県東部・福島県東部」に属し、マグニチュード(M)7クラスの大地震が起こる可能性が大きいところにあります。
双葉活断層の評価にも問題・・・ 福島原発の西側、10数キロに双葉活断層が走っています。この断層は、新地町から広野町まで、南北に全長70キロメートルの長さですが、政府と東電は、原町市大谷から南に欠けての35キロメートルはこの5万年間動いておらず、心配されるのは、原町市大谷から北へ延びる18キロメートルだけとしているため、断層の中心から原発までの距離は35キロメートルあり、M6.9として耐震設計しています。
しかし5間年間動いていなければ、今後も動かないという科学的根拠がないことは、地震学者も認めています。70キロメートル全体が動けば、中心から原発までの距離は14キロメートルでM7.9となり、想定地震と比べて約30倍の大地震となります。
現在、日本全体で52基の原発が稼働していますが、その原発の中でも最もゆるい耐震設計でつくられているのが、福島の第一原発6基と第二原発の1,2号機の2基です。(第二原発の3,4号機は、1981年7月に耐震設計審査指針が定められた以後に設計されたので、耐震性が少し高くなっています。したがって同じ第二原発の敷地内であっても、耐震性が異なるという不思議なことが起こっています)
以前の地震では何が起こったか? 1978年6月の宮城県沖地震で送電線のがいしが破損して、1基が運転停止し、3基で送電を停止しました。1983年7月の茨城県沖地震では、2基がタービン軸受けの震動によって停止。
1987年4月の福島県東方沖地震で、3基が揺れのため核反応が急に進み、停止しました。2000年7月の茨城沖地震では、ついに揺れのため重要な細管が破断するという事故が発生しました。この時東電は、「地震や老朽化が直接の原因ではない」と言い張り、チラシを作って全戸配布までして、福島原発は地震が来ても安全だと宣伝しました。03年5月の宮城県沖地震では、3基の汽水分離器の脚部が曲がる事故が発生しました。
これまでの経緯を見ても、老朽化が進んでいる福島原発で地震が引き金となって大事故が発生する可能性は、一段と強まっています。(続く)
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