これは、Education a la citoyennete (市民としての資格を学ぶ)という教科書で、小学校4年(フランスでは小学校は5年制)、10歳くらいが対象です。
奴隷制度
奴隷は、自由でない人間のことです。奴隷は他人の所有物です(あたかも家畜のように)。そして所有者の言うことにはすべて従わなくてはならず、また賃金も与えられず働かなければなりません。
世界には多くの人々が奴隷状態にあります。借金があり、それを返すために奴隷になっている男の人。家族によって売られ、自分が望まない結婚をする女の人。親によって売られた子ども等です。
ある人たちは、一生奴隷でいます。みんな、耐え難い条件の中で長時間働きます。惨めな生活を送り、虐待され、何の権利もないのです。
奴隷制度は、世界人権宣言で禁じられています。フランスでは、人の自由を奪い、奴隷のように働かせることは、法律で厳しく罰せられます。しかし隠れてそのようなことをしている人もいます。
奴隷の売買
奴隷は古代から存在しました。16世紀から19世紀まで、フランスは黒人の売買に加担していました。ヨーロッパ人は、アフリカで男、女、子どもを買い、奴隷としてアメリカに連れて行きました。こうした奴隷の生活条件は、想像を絶するほど過酷なものでした。家族は引き離され、信じがたいほどの悪条件の下で、絶えず打たれ、ときには死ぬこともありました。
19世紀にヨーロッパ、続いてアメリカの奴隷制度が廃止されました。そして奴隷の売買は、20世紀の初めになくなりました。フランスの領土における奴隷制度は、ヴィクトル・シュルシェールの活動によって、1848年に廃止されました。
討論の柱―学校に行くことや大人の言うことを聞くことを強いられるのは、奴隷制度ではないのだろうか?

世界のなかの奴隷制度

煉瓦をつくる奴隷の子ども、インド、2006年。

説明文を読み、この写真について述べなさい。たとえばこの子どもについて、この子どもがしていること、働いている環境など。

奴隷とは何か、説明しなさい。

奴隷制度はどういう点で、世界人権宣言に反していますか?
そして私は

よく考えずに、まるで「私の奴隷」であるかのように私に尽くすことを、クラスメイトに対して求めることがないだろうか?

フランスにおける奴隷制度
未成年のシャンタルとイヴェットは、人間の尊厳からかけ離れた労働条件と居住環境に、4年間堪え忍んだ。女中だったシャンタル(13歳)は、七日のうち七日、一日に16時間から17時間、家事と6人の子どもの世話をするのが勤めだった。彼女は外出することも禁じられ、パスポートも取り上げられていた。
イヴェット(9歳)は、中学校へ行くのに数キロを歩いて通わなければならなかった。彼女は食堂で昼食をとることもできず、食べ物を買うお金もなかった。こうして10キロもやせてしまった。シャンタルとイヴェットは、湿って寒々とした地下室で眠った。水もなく、体を洗うのも用を足すのも、土を掘った同じ穴の中だった。シャンタルは、片方の手首と鼻を骨折していた。
「現代の奴隷制に反対する委員会」のサイトから転載、2008年 www.esclavagemoderne.org

シャンタルとイヴェットの話を、あなた自身の言葉で語りなさい。

彼女たちの場合、どの点が奴隷制であると言えますか?

あなたは、子どもに対するこのような扱いは、許されると思いますか?

次のことを調べなさい―フランスで奴隷制を実践している人は、どうなる可能性があるか?

奴隷の売買

1870年頃のカラー・リトグラフ

この写真について述べなさい。

この奴隷たちの出身は、どの大陸ですか?彼らは、どこに連れて行かれますか?

ヴィクトル・シュルシェールがどんな人であったか、調べなさい。

奴隷の売買―人道に反する犯罪
第1条 フランス共和国は、大西洋およびインド洋における黒人奴隷の売買、ならびにアメリカ、カリブ海、インド洋、そしてヨーロッパにおいて、15世紀いらいアフリカ、アメリカ、マダガスカル、インドの住民に対して強いてきた奴隷制度が、人道に対する犯罪を構成することをここに認める。
第2条 今後の学校教育の授業計画、歴史および人間科学の研究計画のなかに、黒人奴隷の売買ならびに奴隷制度を正当に位置づける。
「トビラ」法、2001年5月21日

この法律の条文を説明しなさい。

「
議会」のページを参照して、この法律の起草者がどんな人であるか説明しなさい。
スポンサーサイト