
ブリテンの闘い、1940年

ロンドン空襲の間、地下鉄のピカディリー駅構内に避難したロンドン市民。
ドイツ軍と日本軍が手にした、戦争の初期における成功は、いかに説明できるか?
ヨーロッパにおける「電撃戦」 ヒットラーと彼の参謀本部は、攻撃の戦略に賭けた。戦車と飛行機の組み合わせに基づく「電撃戦」Blitzrieg は、機動性と火力を結合することができた。戦車と機械化された部隊とによって構成された機甲師団は、敵の前線に穴を空け、相手の戦線に深く入り込むことができた。しかしながら1940年には、ドイツの160師団の内、完全に機械化されていたのはわずか10師団しかなかった。
1939年9月1日に侵略されたポーランドは、数週間後に降伏せざるを得なかった。ポーランドは、ドイツとソ連に分割された。英仏軍は、スエーデンの鉄鋼石をドイツに積み出すのを阻止するための、陽動作戦を展開するにとどまった。ドイツは反撃し、1940年4月から5月にかけて、デンマークついでノルウェーを侵略した。
1940年5月10日、ヒットラーはオランダついでフランスに対し、大攻勢を開始した。フランス軍参謀本部の作戦プランの裏をかいて、グーデリアン将軍の装甲軍団がアルデンヌ高地を乗り越え、スダンのフランス前線を突破した。フランスは6月22日に休戦協定に調印し、イギリスのみが戦争に取り残された。
イギリスに対する戦いと地中海における戦闘の拡大 ヒットラーは、ドイツ軍のイギリス上陸作戦を考えていた。そして1940年、「ブリテンの戦い」が始まった。ドイツ空軍は、ライバルであるイギリス空軍から制空権を奪う使命を与えられた。文字通りの縦断爆撃である「ロンドン空襲」が、イギリスの諸都市を襲った。にもかかわらずイギリス国民は、首相ウィンストン・チャーチルのもとに一致団結した。レーダーの発明とイギリス戦闘機(Spitfire)の優位性によって、イギリスはドイツの攻撃を斥けた。
そこで枢軸国側は、地中海のイギリスの勢力圏へ戦闘を拡大した。イタリアは、1940年9月にエジプト、10月にギリシャを攻撃した。しかしイタリア軍が敗北したことによって、ドイツはバルカン半島への介入を余儀なくされた。ユーゴスラビアとギリシャは1941年に占領された。1941年2月にロンメル将軍が、リビヤで苦戦しているイタリア軍を支援するために、アフリカ軍団を率いてアフリカに上陸した。
ソ連とアメリカの参戦 ボルシェヴィズムとの戦いとドイツの東方への拡張は、つねにヒットラーの最優先目標であった。1941年、ヒットラーは電撃戦の快挙を東部戦線で再現する計画を立てた。初戦での勝利(1942年2月までに、335万人のソ連兵が投降)にもかかわらず、ドイツ陸軍の攻撃は1941年12月に停止した。領土の広大さ、舗装道路の不備、冬の到来などによって、レニングラードからコーカサスまで伸びきった戦線のなかで、ドイツは古典的な戦争に引き戻された。
アジアでは、日本とアメリカの間に緊張が高まっていた。1941年3月に武器貸与法を可決したアメリカは、イギリスついでソ連に武器を提供した。1941年7月に日本が仏領インドシナを占領したのをうけて、ルーズヴェルトは日本に対する石油の輸出を禁止した。石油の供給を脅かされた日本は、戦闘の拡大の道を選択した。1941年12月7日、日本は宣戦布告なしに、ハワイ島のパール・ハーバーに基地を置くアメリカ艦隊に壊滅的な打撃を与えた。アメリカの参戦によって、戦闘は世界規模になった。
アフリカ軍団―1941年、ヒットラーがアフリカに送り込んだ遠征軍。
枢軸国―経済的、政治的、軍事的援助を内容とする三国間協定に調印した国によって構成される。1940年9月27日にドイツ、イタリア、日本が調印、同年11月にスロバキア、ハンガリー、ルーマニアが、翌年3月にブルガリアが加わった。
ロンドン空襲―市民の間に恐怖の種をまく目的で、イギリスにたいしておこなわれる夜間空襲。
電撃戦―戦闘の近代的手段(戦車、飛行機、無線電信など)を組み合わせて、敵の戦線をこじ開ける戦術。
武器貸与法―1941年3月11日に採決。その国にたいする支援がアメリカの安全保障に不可欠と判断された国にたいして、武器・装備を売却するか貸与する権限を大統領に与える法律。
バルバロッサ作戦―ソ連への侵略作戦につけられた暗号名。神聖ローマ帝国皇帝であった赤髭Barberosseフリードリッヒ一世は1190年に死んだとされているが、帝国の統一が危うくなると戦いに戻ってくるという伝説にちなんでつけられた。
機甲師団―鎧 Panzer から来た言葉で、ドイツ軍の装甲した師団のこと。
これはフランスのLycée 1(日本の高校2年に相当)で使われる文学・社会経済コースの仏独共同歴史教科書です。
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