フランスの研究によると、原発付近の若い住民に白血病の発症率が2倍であることが認められた。 19あるフランスの原発の一つで、その5キロ圏内に住む子どもや青年は、白血病の発症が2倍であった。この真偽を確かめるのは難しいかもしれないが、一つの警鐘ではある。癌についての国際的な雑誌のサイトに配信された内容はこのようなものであった。それは、脱原発のネットワークや西部放射能監視団体(ACRO)によって、それを原子力産業についての議論の材料として受け継がれている。
国立保健医学研修所(Inserm)の764研究室の主任であり、疫学公衆衛生研究センターのメンバーであるJacqueline Clavelは、この研究が白血病の多発と原発への距離との相関関係を提示したとしても、だからといってこの関係を説明する要因を明らかにすることにはならない。
急性白血病は、子どもの癌の30%を占める。1990年フランスに小児血液疾患全国登録が創設されて以来、0歳から14歳までの1年間の新発症数(発症率)は470症例を前後に安定している。15歳から19歳までは80症例である。白血球に関するこのタイプの癌の危険因子は、はっきりとは特定できない。遺伝学的に説明がつくのは、急性白血病の5%である。環境的要因としては、電離放射線が疑われる。
特にヨーロッパでは、いくつかの研究グループが、原発施設から近距離の地帯に住む子どもや青年も白血病の発症率を分析した。原子力安全庁、衛生局、リスク予防局などの指導によって設立された「多元的研究グループ」は、この問題についての報告書を作成し、2011年11月に発表した。そして様々な研究が作成した統計は不十分で、この問題に決着をつけるまでには至っていないと評価している。
いくつかの研究が、三つの原発、セラフィールド(イギリス)、ドーンレイ(スコットランド)、クリューメル(ドイツ)の施設の近くに住む子どもの症例を集めて公表した。しかし他の原発については、このような協力が見られなかった。
フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)の科学者を含むJacqueline Clavelの研究グループは、2002年から2007年までの小児白血病全国登録から手をつけた。このグループは、白血病の症状(この時期に2,753人の15歳以下の子どもについて記載された診断結果)、受診した患者たち(年に5,000人、全体で30,000人)、同じ時期の同じ社会構成などについて比較研究をおこなった。並行して白血病の発症について、原発の周囲5キロ以内に住む子どもと青年の場合と、一般の子どもの場合とを比較した。
結果は、子どもと青年が白血病になる可能性は、原発から5キロ圏以内に住んでいる場合が、近くに住んでいない場合に較べ1.9倍も高かった。そして発症―すなわちその年に認められた血液の癌の症例数―も、原発の近くに住んでいるほうが、1.9倍(受診した患者の7.4症例にたいし14症例)多かったのである。5歳未満の子どもの場合には、その差はより顕著であり、3.6症例にたいし8症例が認められ、2.2倍を超えた。
「この研究の結果は、疫学的警告の価値をもつ」国立工芸学院William Dab教授
研究者たちは、この急性白血病の急増を説明するものとして、原発による大気中の放射性核種の排出を退けた。「われわれは、白血病のリスクの増加と、危険にさらす放射線量に応じて作成された地区割り地図との結びつきは、何ひとつ見いだせなかった」ことをClavelは強調した。「放射線量は自然の放射線量の約千倍を下回った。したがって、われわれの観察結果が示すであろう要因の特定を試みなければならない」。
研究の方法論は、有名な疫学者たちが称賛した。「研究対象となった住民の規模と、99%以上網羅した記録にもとづくデータの質は、この研究結果に疫学的警告の価値を与える。ドイツの研究と同質のものであるだけに、最大限の注意を払って見守っていくことが重要である」と、国立工芸学院William Dab教授はコメントした。
Jacqueline Clavelにとっては今、ヨーロッパの他の研究者たちに、発症についての研究を推進し、居住地域に関連する放射線量の評定をおこなうようにし向けることが必要である。しかしながら疫学者は、発表されたばかりの研究論文の限界を隠そうとしない。「われわれの研究は、白血病と原発への距離についての関係を示した。しかし、原因となる要因を特定できない限り、われわれはそこから予防という言葉で結論を引き出すことはできない」。
PAUL BENKIMOUN
原発付近(5km)に住むことと、子どもの白血病発症の相関関係
15歳未満 認められた症例数 14
予想された発症数 7,4(+90%)
5歳未満 認められた症例数 8
予想された発症数 3,6(+120%)
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