社会的保護は、長い間カトリック修道会によっておこなわれてきましたが、少しずつ国が負担するようになりました。まず労働者のリスク(労働災害)から始まり、他のリスク(老齢化、障碍、病気、家族など)に拡大し、とりわけ1945年以降、制度は充実しました。財源は。税金および社会保障負担金で、それは所得の再分配の論理に基づいています。しかし今日、この制度は財政的に厳しい状態に直面しています。
<用語解説>
社会保障負担金―社会的保護に出資するために、企業と労働者が払う分担金。
パトロン的社会福祉―経営者によっては、労働者に社会福祉的な待遇(教育、住居、病気治療)を施す。19世紀、公的社会福祉制度が始まる前に現れた。
1.貧者と病院に対する宗教的な救済

パリの「神の館」Hotel-Dieu(1500年頃の版画)
2.パトロン的社会福祉の広がり

19世紀モーゼルに、炭坑主が建設した労働者街。この街は、炭鉱労働者とその家族を受け入れた。
3.新しい権利を要求するたたかい

労働災害に対する炭鉱労働者のストライキ。このたたかいは、労働災害の犠牲者を保障することを、雇い主に義務づける法律が制定される1898年まで続いた。
4.国が負担する社会的保護
掛け金(従業員、雇い主、個人事業者)
税金(国)
個人が拠出する補足分

財政

社会的保護
・貧困、社会復帰 ・老齢 ・病気 ・障碍者 ・失業 ・労働災害 ・出産 家族扶養

1)医者が、出産のための有給休暇を国が認めることを保証する。
2)「あなたは、何も支払うことはありません」―出産の費用と休暇中の賃金は、国によって支払われる。
3)「育児のあいだ、パートタイムで働きたいんですが」―子どもが3歳になるまで、賃金の不足分を国が支払う。
5.社会保護の拡大と財政
社会的保護のシステムは、連帯です。誰もがその恩恵を受け、誰もがその財政に関与することによって、誰にとっても身近なものになるのです。
フランスの中学2年(日本の中1)の教科書「市民教育」より
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『2012年仏大統領候補、社会党オランド氏の2012年1月22日の演説 (6)』の続きです。
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フランス大統領選の選挙戦で、社会党候補のフランソワ・オランド氏が富裕層への所得税課税強化を打ち出しました。税収は消費税しかないかのような議論ばかりの日本とは違う議論に日本の方も接してほし...