フランスでは、公共サービスは、国家が責任をもつ公衆へのサービスを意味します。警察、教育、健康、鉄道輸送、電力の供給などの公共サービスです。20世紀に公共サービスは拡大しました。フランスは、福祉国家になったのです。
公共サービスは、機能するにあたっての大原則にしたがっておこなわれます。すなわち、どれほど経費がかかっても、どのような条件のもとでも、継続されなければならないこと。そしてすべての市民が、フランスのどの地域に住んでいようが、平等に利用できることです。しかしながら今日、公共サービスと国の役割について再検討がなされようとしています。民営化は、公共サービスの一部で始まっています。
<用語の説明>
公共サービス
国に属する企業体と行政機関の全体
福祉国家
国が個人にたいして、数多くの援助を保障すること。病気、貧困、老齢化など。
民営化
それまで公共企業すなわち国の管轄であった事業を私企業に売却すること
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これから何が公共サービスの領域になるのだろうか?なにが民間企業に属するのか?この二つの領域の論理は異なる。公共サービスは、公衆にサービスを提供すること自体を目的とする。民間企業は、利益を上げ成長することが目的である。同じものではない。情報を、あらゆる形態(郵便、新聞、テレビジョン、電話)でどこへでも伝達することを保障するということ、私はフランス国内のどこでもと言うが、これは公共サービスの領域である。科学的および技術的研究を活発にすることは、まだ国の責任である。携帯電話の販売と加入、通信衛星の管理、ビデオゲームの普及、インターネットの加入権の販売、これはすべて私企業の管轄である。
Claude Allègre, レックスプレス紙、2002年10月10日付
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公共サービスは、今日新たな状況に直面している。三重の挑戦に応えなければならない。まず急激な技術的変化であり、自由貿易と競争の原理に従って機能するヨーロッパ市場であり、また競争のみが企業を刺激し、ユーザーに良質のサービスと低価格を保障するという考えが支配的であるということである。そしてより精通した個人が、ますます公共サービスの質と多様な供与を要求してきていることを加えなければならない。しかしながら、公共的責務の自由化、さらには民営化による危険性を忘れてはならない。その危険性とは、サービスの将来を保証するために不可欠な投資を怠り、また国土整備や環境にたいする影響を疎かにしがちであるということである。コストに応じた価格の設定も、ユーザーの一部を排除することにつながる。
Jean-Daniel Delley、「公共の領域」、2000年6月2日
<資料
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欧州連合に直面するフランス
欧州連合に加盟する多くの国は、郵便部門全体をいずれは自由化することを奨励する。しかし自由化されれば、ロゼールからオート・アルプスに手紙を出す場合、リヨンからパリに手紙を出すのと同じ料金で郵送できるのだろうか?フランス人の多くが、それを疑っている。フランスでは、公共サービスの概念は極めて政治的な概念である。それは平等と友愛という二つの価値を、現実の社会のなかに刻み込もうとする共和制の産物なのである。
上院副議長であるM. G. Larcherへのインタビューより、2001年6月
<市民の意見>
あなたは、電力の公共サービスのもっとも重要な使命は何だと思いますか?
環境を大切にし、大気の質を改善し、温室効果の対策をとること 69%
国内どこでも、同質で同じ料金の電力の供給を保証すること 58%
フランス電力公社EDFが提起した連帯のための対策の中で、あなたが優先すべきと思うものは何ですか?
エネルギーを節約する器具の開発 57%
貧しい人のための社会保障的な料金体系 45%
資料を分析することによって、討論の主題を考えること 1.Claude Allègreによると、公共サービスと私企業との間には、どのような論理が対立していますか?(資料
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2.公共サービスが直面している新たな条件は、どういうものですか?(資料
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3.国の管轄にあるサービスが競争に門戸を開くと、どのような利点とリスクがありますか?(資料
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4.フランスが、他の欧州連合諸国より公共サービスにこだわるのはなぜですか?(資料
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5.資料
によると、公共サービス部門の再検討には、どのようなリスクがありますか?
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