フランスの中学4年(日本の中3)の教科書「市民教育」から、ふたたびラ・マルセイエーズについての記事を紹介します。
ここでは国民教育省の公報と、現場の教師の意見を紹介しています。
当時の国民教育大臣のジャン-ピエール・シュヴェーヌマンは、フランスでも指折りの共和主義者で知られています。公報の文には、共和主義者としての彼の心情がよく現れています。
他方現場の教師は、ラ・マルセイエーズの歌詞の問題点と、それを教えることの意味を問うています。そして彼女は歴史的資料として教えると語っています。
これを読んで私は、2009年サルコジ政権が全国のリセ(高校)に、17歳でナチスによって銃殺されたギィ・モケを記念して、彼の手紙を読むことを指示したことを思い出しました。その日のリセの様子をリベラシオン紙が伝えています。これもあわせてお読みください。
「ギィ・モケの手紙―フランス人は押しつけを好まない」
国民教育大臣、ジャン-ピエール・シュヴェーヌマン、1985年
フランスにおいては、共和国は国民および民主主義と不可分です。法を愛することは共和国の基礎をなしており、祖国を愛することと不可分です。注目すべきことは、フランス人の国民としての感情が、共和国のシンボル、すなわち三色旗、「自由、平等、友愛」の標語、国歌のなかに具現されていることです。祖国と共和国のシンボルであるラ・マルセイエーズは、市民形成の欠くべからざる要素です。当然にその歌詞およびメロディーは、フランスのすべての若者によって学習され、歌われるべきです。
教育公報、1985年5月2日
女教師の意見
この、暗喩で飾り立てた好戦的な歌、滑稽さと憎しみをかき立てる言葉に満ちた歌を子どもたちに教えろというのですか?「汚れた血で我が溝を浸そう」という人種差別の表現、「我らの息子、我らの妻の首を刎ねに、敵がそこまで来ている」という性差別の歌詞を、考えることなく教えろというのですか?
私は子どもの頃、この歌詞を学校で教わりましたが、理解することなく歌っていました。私はただ無意味にこの歌を伝えることはしません。歴史、それも悲惨な歴史の資料として教えます。
ル・モンド紙、1985年4月
<質問>
1.ラ・マルセイエーズの歌詞のなかで、共和主義者の原理と一致する価値はどれですか?20世紀の末において、意見の違いが起こりうる部分はどこですか?
2.学校で、この国歌を歌うべきだと思いますか?賛成の論拠と反対の論拠を挙げなさい。
2005年10月におこなわれた世論調査 www.ifop.com
質問―あなたは子供たちが、学校でラ・マルセイエーズを学ぶのを賛成しますか?反対しますか?
反対―20%
賛成―80%
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