5月3日の憲法の日にちなんで、憲法について述べた、フランスの中学3年の公民教科書を紹介します。
フランス憲法
市民に奉仕する憲法第五共和制憲法は、シャルル・ド・ゴールが着想し、国民投票によって承認された後、1958年10月2日に発布されました。憲法は、市民の自由と平等を保障します。
憲法は、選ばれた代表者を介して、国民主権の機能を組織します。すなわち議会は立法権を、共和国大統領は行政権を、司法官は司法権を手にするのです。この[権力の] 分割は、一人の人物あるいはひとつの団体の自由裁量から市民を守ります。
最高の法律 憲法は、共和国の基本的な「法」です。他のすべての法律は、憲法を尊重しなければなりません。共和国大統領と憲法院は、法律が憲法に違反していないか監視する任務を与えられています。
憲法院は、法律あるいは条約を吟味します。もし憲法院が、条文が憲法に合致しないと判断した場合は、条文を破棄します。
進化する条文 制度の機能は、社会や国際関係の進展に対応できなければなりません。憲法は、国民投票あるいは上院と国民議会の両院合同会議において改正することができます。
<用語解説>
憲法―国の政治体制の基本的な規則を定める。憲法は市民が享受する権利や自由について述べている。憲法は、行政権、立法権、司法権を明確に規定している。
両院合同会議―国民議会と上院の二つの議会が合同して開催される
憲法院―各々9年の任期をもつ、9名のメンバーによって構成される会議。うち3名を共和国大統領が、3名を国民議会の議長が、3名を上院の議長が選ぶ。憲法院は、法律や条約が憲法に合致しているか、選挙が合法的におこなわれているかを確認する。
憲法における権力の配分(資料1)
政治抗争を超えたところに、国の審判者[憲法―訳注] が存在する。、国の審判者は、[...] 制度の公正なる機能を保障することを使命とし、主権を有する国民の判断に訴える権利をもち、重大な危機の時には、独立、名誉、誠実さ、共和国の救済を保障する。[...] 政府と議会が協力し、しかし権力は分け持つこと。これが権力の、バランスのとれた仕組みである。
1958年7月4日、自分の憲法案を提案するド・ゴールの演説より抜粋
憲法院の決定(資料2)
憲法院は、司法官職高等評議会の選挙に関する2001年5月30日法律の条文の一部を差し止めた。これらの条文は、この選挙において、候補者リストの構成を男女同数の規則に拠っていた。憲法院は、この構成は1789年の人と市民の権利宣言の6条にある次の表現を正しく認識していないと判断した。「すべての市民は[…] その能力により、またその徳と才能以外のいかなる区別によることなく、平等に公の位階、地位および職に就く資格を有する」。
2001年6月19日、憲法院出版物のコミュニケより

憲法院
第五共和制憲法1958年(資料3)
第11条 共和国大統領は、[...] 公権力の組織に関する法案、[...] 条約の批准を求める法案のすべてについて、国民投票に付すことができる。
第89条 [...] 憲法改正に関する政府提案の法案あるいは議員提案の法案は、両院において同じ文言で議決されなければならない。改正案は、国民投票によって承認された後に確定する。しかしながら改正案は、共和国大統領が両院合同会議での審議を決めた場合には、国民投票に付されない。この場合、多数派が投票数の5分の3を得ないかぎり承認されない。[...]
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