3.逃亡(P10~P13)
■黙読。この部分の表題をつけさせます(逃亡)。もっとも重要な表現はどれですか?
■二匹の登場人物の性格づけをさせます。大まかに言って、デカ灰ウサギには、自由への意欲がなく、相棒にしたがっていくだけという指摘ができるでしょう。ついでに若者(意欲的、ダイナミック)と老人(新しいものについていけない)についてのステレオタイプも批判することができます。このステレオタイプは、広告、メディア、ニュースにおいてもみられます。年齢や経験は、決して諦めや意欲の喪失を意味しません。チビ茶ウサギは、童話(親指トムや勇ましいチビの仕立て屋)に出てくる、小さくて賢い英雄のイメージと重なるでしょう。いずれにせよ、ここではそれとは別のもの、すなわち自由と安全という矛盾する価値を示すためのステレオタイプなのです。
■P13を学習します。まず描写から始めます。そこからどのような印象を受けるでしょうか(夜の景色の中に消えようとするウサギの姿、ウサギを狙う猛禽)?この印象は、イラストを超えて次の展開を予想します。すなわち二匹の逃亡者にのしかかる脅威です。

4.自然の中で自由に(P14~P22)
■全員でこれまで読んだところを一つひとつ確認し直して、P14~P22を黙読します。
■そして二匹の登場人物のどちらが好きか、その理由は何かについて書かせます。
□物語をドラマに脚色します。もっとも重要な出来事を記憶して、二人で組をつくり、自分たちの言葉で演じさせます。こうして世界を再発見し、自由の喜びと危険を感得していく主人公たちの反応をより深く感じさせます。
□白い監視員の話し(P22)について質問をします。白鳥の攻撃についてのデカ灰ウサギの説明に納得しましたか?そして自分の説明をさせます(侵入者に対して子どもを守る白鳥)。白い監視員にたいするデカ灰ウサギの無知、恐怖、そして罪悪感。すなわち妄想に縛られていることについて確認させます。自由とは、現象の説明を超自然的なものではなく、考察や学習に求める、精神の自由でもあります。往来の自由と精神の自由とは、相伴うものであることをこの絵本は私たちに語っているのです。この考察を拡大して、他の同じような迷信(狼男、幽霊、悪魔など)のリストをつくりましょう。

5.回帰(P23~P32)
■ウサギたちが穴ぐらを掘り始める場面を朗読し、この物語が転換するところで朗読を止め、生徒たちに結末を創作させます。生徒たちのそれぞれの結末は、あとで文と比較されます。自由を諦めるのか?それとも危険に立ち向かっていくのか?自発的な隷属なのか?結末を読んだ後、二匹の主人公のどちらに道理があるかを議論させます。この議論には、あらかじめ生徒が、一人であるいはグループで論法を用意する必要があります。
□イラストを読む
この4つのイラストを、まえに学んだ6つのイラストと比較します。二組のイラストから、二匹の姿勢の変化を明らかにすることです(デカ灰ウサギは、身体を低くして、しぼんでいる)。それが映画的手法で強調されています。そして同じ背景、同じ構図によって動きをつくり出しています。









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