放射性廃棄物はどのようにしたらよいのか?
collège4年(中学3年)の教科書「民主主義社会における科学と技術」より

常に監視が必要なのだ。それに2万5000年も危険物でありつづけるのだから。 風刺画家Pessin
質問 風刺画家Pessinは、何を批判しているのでしょうか?
フランスでは、電力の75%は原子力発電によってまかなわれています。電力は18カ所の原子力発電所において、59基の原子炉によってつくられています。そして毎年6万トンの放射能廃棄物が排出されます。放射能廃棄物の中には、数十万年のあいだ残存する、有害な「高濃度かつ残存期間が長い放射性物質」がふくまれます。
ですから、破壊に直面しているのは、私たちの環境だけではないのです。それは未来の世代にとっての環境でもあるのです。1991年の「バタイユ」bataille法によって、解決策を見出すためのフランス放射性廃棄物管理機関ANDRAが設立されました。また2006年には、この問題について議会での討論がおこなわれました。民主主義社会においては、市民は情報を集める義務、そして自分の意見を主張する権利があります。
バタイユ法第1条「高濃度かつ残存期間が長い放射性廃棄物の管理は、自然、環境、健康の尊重を保障し、未来の世代の権利を考慮するものでなければならない」。
1991年12月30日
市民の意見
―あなたは、原子力の不都合な点は次のどれだと思いますか?
放射性廃棄物の排出と貯蔵・・・・・・・39.9%
原子力発電所での重大事故の危険性・・・35.3%
放射線の危険性・・・・・・・・・・・・20.3%
再生可能エネルギーではない・・・・・・ 4.3%
―あなたは、公的機関による放射性廃棄物の適切な管理は、充分だと思いますか?それとも不十分と思いますか?
不十分・・・・・・・・・・・・・・・・77.5%
充分・・・・・・・・・・・・・・・・・16.2%
無回答・・・・・・・・・・・・・・・・ 6.3%
消費調査研究資料センターCREDOCが2001年12月~2002年1月におこなった調査
現在、地表の倉庫に収納されている廃棄物。
放射線がきわめて弱い廃棄物―原子力発電所の原子炉の解体によって出るコンクリート、煉瓦、プラスター(石膏)[残存期間<300年]
放射線が弱い廃棄物―鉱山の産業廃棄物、元原子力発電所から排出した炭素を成分とする廃棄物 [残存期間>300年]
〃 ―原子力発電所、研究所、病院からでるフィルター、手袋、小さな鉱物 [残存期間<300年]
中間の放射線を出す廃棄物―使用済み核燃料の再処理工場から出る廃棄物 [残存期間 バタイユ法で「高濃度かつ残存期間が長い放射性物質」とされた廃棄物]
強い放射線を出す廃棄物―核反応の際につくられる廃棄物 [残存期間 バタイユ法で「高濃度かつ残存期間が長い放射性物質」とされた廃棄物]
質問 最も危険な放射性廃棄物は何でしょうか?それはどこに保管されていますか?
放射性廃棄物の埋設に反対する意見
廃棄物の埋設は問題を含んでいる。一体誰が、このような貯蔵が何世紀そして何千年にわたって、(たとえばボーリングによって、地殻運動は言うに及ばず)浸食しないことを保障することができるのか?もっとも簡単でもっとも危険が少なく、そして短期間の解決策は、いつでも出入りできる敷地に放射性燃料を保管することである。そのために地下約50メートルに坑道をつくり、再活用の可能性あるいは放射線量の減少を待って監視をつづける。
B.Laponche(ドミニク・ヴォワネ環境大臣の技術顧問)
リベラシオン紙 2002年7月7日付

オート・マルヌの地下490メートルの粘土質の地層につくられる坑道―国立放射性管理局ANDRAの構想図2000年7月
放射性廃棄物が提起する問題について、述べなさい。なぜ専門家の議論を超える問題なのでしょうか?このテーマについて、「市民シンポジウム」を開催するという意見について、あなたはどう思いますか?
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