
前に「歴史を教えるにあたっての背景―問題点」で、歴史教科書の目次を紹介しました。この背景―問題点 situations-problèmes という授業法は、1990年代から唱えられました。具体的な授業法の紹介の前に、この授業法situations-problèmesがどういうものであるか、見てみましょう。
背景―問題点 situations-problèmesとは?
端的に言えばこの授業法は、生徒自身に問題の解決法を見出させるということです。まず一つのテーマに関するオリジナルの資料がグループごとに渡されます。生徒たちは資料の文脈を追い、一つあるいはいくつかの仮説を立てます。そのために生徒は、これまで自分の中に蓄積された知識を動員し、構成し直します。自分たちが知っていることに結びつけることによって、生徒の知識はリアリティをもつようになります。こうして初めは教師によって提起された問題が、「自分たちの問題」になります。生徒が主役となるのです。
生徒の間で生じる認識の違い(衝突)は、討論を通じて、生徒の活力を引き出します。また障碍(難問)にぶつかったときに、生徒たちはこの障碍を乗り越えようとして、新しい解決の方法を発見し、それを練り上げ、我が物としていきます。この障碍の乗り越えは、これまで蓄積した認識を発展させる過程での、一つの到達点(階段の踊り場)であることを示します。そしてそれは知識の体系化をともないます。
この授業法が重視するのは、生徒が生みだす結論ではなく、その「過程」であり、生徒の積極的な参加です。つまり回答を求める授業でなく、問題を提起する授業です。生徒がぶつかる障碍は、授業にとって障碍ではなく、授業を方向付けるものになります。
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