植民地主義―本当に文明化の成果?
中心となる概念―民族自決権
概念の対象―植民地政策
<授業1>
この授業の目的は、植民地化が、フランスが公式に擁護する原理に反するものであることを、生徒に気づかせることである。
時間配分
(5分)
植民地化がどういうものかを説明する。
あなたはフランスの植民地がどのようなものであるか、要約して言えますか?
(30分)
クラスを、二つの部分に分ける。
一つ(グループ1,2)は、アルジェリア遠征の利点ついて調べる。
もう一つ(グループ3,4)は、アルジェリアにおけるフランスの不当な要求についての、議会調査委員会の資料を調べる。
(20分)
それぞれのグループが報告して、征服による利益と[共和国の]諸原理とを対比させなさい。
<授業2>
1世紀が経過して、植民地はどう変わったのか?この授業では、作家やジャーナリストがおこなった調査をとりあげる。暴力は、非植民地化を遅らせることにしかならなかった。
時間配分
(30分)
クラスを二つの部分に分ける。
―文明化の成果としての征服を正当化する二つのグループ
―植民地化を引き起こすのは、ヒューマニズムの欠如であると説明するグループ
(30分)
二つの部分の報告。議論はしない。
教師がヴェトナムの独立宣言と、アルジェリアの新聞記事を読むのを聞く。
教師がまとめをする。二つの授業で、二つの部分が報告した観点を確認する。
生徒の想起するもの
植民地主義について、生徒は見当もつかない。それは生徒に直接訴える歴史的事実についてではなく、フランスの二つの矛盾した態度についてである。1789年の「人と市民の権利宣言」の祖国として、次に民族自決権に対する過酷な敵対者として歴史に現れたフランスは、イギリス帝国に次ぐ植民地大帝国の地位を築いた。
今日ではフランスを含む多くの国々、スイスやノルウエーまでもが、自分たちの過去を再検討し、不名誉な面を明らかにしようとしている。ノルウエーにおいては、障碍者にたいして本人たちの了解なしに不妊手術をした優生学的措置であり、スイスにおいては、ナチスに迫害され、中立国であるこの国に逃れてきた人々に対する受け入れ拒否である。この過去について検証し、破廉恥な政治を是正しようという動きは、世論の一部からは、不安定を持ち込むものであり、国の一体性を失わせるものだと受け取られる。
「一体化」とそれに対立する「分裂」という言葉が乱発される。この現象は、なにも新しいことではない。世論の一部は、遠心分離をすべて国力の衰退とみなす。すでにドレフュス事件において、この強迫観念は、偽の書類、偽の証言、証拠物件の留め置き等の、あらかじめ了解された口実とされた。
植民地主義に関しては、別のようにもいえる。もしすべての人が、フランスが植民地主義の国であると意見が一致すれば、この意見の大部分は、その政策と行動の矛盾の大きさに批判の目で検討することを拒否する。人々が、ユダヤ人の共同体に対して謝罪を必要とする考えを受け入れたとしても(コールドイツ首相が例を示したように)、植民地化された人びとに対する謝罪はそれと同じではない。たとえベルギーの議会調査委員会がルアンダにおけるこの国の植民地政策を調査したとしても、そして他の委員会が、ザイールにおけるベルギーが果たした役割、とりわけパトリス・ルムンバ殺害に関する役割について調査する義務があるように思われても。
生徒とともに、曖昧な部分を明らかにし、市民としての資格が、熱烈なナショナリズムとは違う規範をもつという考えを発展させていくことが重要である。黙ることは、これらの誤った政策をくり返すことであり、沈黙はそれに関わった国々の人びとにとって耐え難いことであり、一つの国の中で模範的で完璧だと思われる考えが、他のすべての国では意味を持たないこともあることを理解することも重要である。
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