
ル・モンド紙 2月3-4日付
首相は戦争放棄を見直すために、近隣諸国からの脅威の高まりとテロの危険を持ちだす 東京特派員
2012年12月の選挙運動中はナショナリストのレトリックを避けていた日本の首相安部晋三は、第二次世界大戦についての日本の態度を変え、平和憲法を改定することをほのめかす。
2月1日、首相は戦争における日本の役割について、自国の安全を望むとともに、これまでの内閣が示してきた立場、とくに「日本が多くの国の、とりわけアジアの人びとが被った、甚大な損害と大きな苦痛を引き起こした」という態度を、現政府が共有することを明確にする新しい公式発表が、終戦70周年にあたる2015年にがなされるだろうと述べた。
1月31日に憲法について質問された首相は、すでに慎重な態度を見せた。敗戦の帰結として1947年に採択された基本法である憲法の改定を願ってきた彼は、この改変が日本および近隣諸国にもたらすであろう影響をつねに意識しているのである。
首相は、自由民主党と連立を組む公明党のためらいも頭にあった。「意見の対立を考慮して、私は憲法96条を、多数派が望む方法に変更することから始めたい」と彼は認めた。この条文は、国民投票に委ねる前に、両院議員の3分の2の賛同を得なければならないという憲法改定に関わる条項を含む。
安部晋三にとって重要なのは、「国益と国民を保護すること」
「タカ派」そしてナショナリストの政治的系譜の後継者とされる安部晋三は、「日本国民は、戦争を永遠に放棄する」と厳かに宣言した第9条の見直し、自衛隊を「通常」の軍隊とすることを願っている。これは1980年代から一部の政治家たちが掲げている目標である。
1982年から1987年まで首相であった中曽根康弘は、「日本が『普通の国』になるために、日本が例外であることを終わりにする」ことを推奨した最初の人物であったと、ギブール・ドゥラモット Guibourg Delamotte (フランス政治学院アジア研究センター研究員)は、日本の防衛政策(フランス大学出版PUF、2010年)の中で語っている。
安部氏にとっては、「ますます複雑になる国際的安全保障の環境のなかで国益と国民の保護」が重要である。領土問題をめぐる緊張、中国と北朝鮮の軍事増強に加え、日本にとってはテロの危険も気がかりである。1月半ばにアルジェリアのイナメナスにおける人質事件で10名が殺されたことは、不安を大きくした。
2012年12月10日、フィリピン外相アルベルト・デル・ロザリオは、同様に中国との領土係争にある我が国としては、「中国の徴発行為」に対抗するために日本の再軍備にを支持するだろうとフィナンシャル・タイムズ紙に語った。
東京はそれに反応しなかった。そして選挙以来、安部氏がとり続けていた留保は、1月28日の所信表明でも確認された。たとえ国防予算(国民総生産の1%を超えないにしても、世界第7位)をわずかに増額し、中国と係争中で主権を主張している尖閣列島(中国名は釣魚島)に特別に人員を配置することを決めたにしても、安部氏は、国民の第一の関心事である経済問題に専念することを選んだ。1月、首相は中国と韓国に、二国間の関係改善のための特使を送った。
PHILIPPE MESMER
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