⑤人の権利教育は、価値判断が形成されるプロセスである。
価値判断は、人の権利教育の実践を通してできるようになるが、授業のプロセスも重要であることを考慮に入れなければならない。
価値判断は、授業の中で形成されていくものである。生徒の努力を励ますのは、その能力に応じてであって、「試験」のような画一的な基準に照らしてではないからである。そこでは、生徒が授業での進歩の状態を示し、教師(そして仲間)の助けと支えを求める。
人の権利教育は、人の権利の価値に対する尊重を意識する態度および行為を促進する。それはたとえば、数学の法則や歴史的事実が必要とする「授業時間」のようなものではない。この時間は、次の3つの側面をもつ。
当面の結果(短期的)―ひとつ、あるいはいくつかの活動の論理的な習得
効果(中期的)―結果の全体がもたらす論理的な習得
影響(長期的)―持続によって特徴づけられる効果の全体がもたらす論理的な習得
教師がその役割を長い期間に設定することは、もっとも重要なことである。それはすくなくとも二つの理由からである。ひとつは授業のプロセスに関係すること―絶えず蓄積に気を配ること、そしてもうひとつは、教師自身に関係すること―忍耐と粘り強さをもつことである。
理論的には、教師は、生徒の行為において変化が生じているかどうかを確かめるために、いくつかの指標を設けることができる。しかし実際においては、それは参考にしかならない。習得の道程は個人によって違うし、時間とともに刻まれるものである。「形成される」価値判断においては、観察することが肝要である。
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