今日からしばらく「道徳的意識を形成するための100の見解」という本の「価値」の部分を紹介していきます。すこしスローペースになります。
フランス革命によって宣言され、人と市民の権利宣言に厳粛に列挙された人の権利は、1948年に国連によって採択された国際人権宣言に結実した。
すべての学校の第3課程のクラスは、この宣言の原文を自分のものにしなければならない。教師は、年齢に応じて生徒に宣言を注釈させることは、ほぼ義務となっている。前文を理解するには、20世紀の歴史についての知識が必要であり、その学習は、理解が難しいいくつかの条文(6条、8条、12条、16条など)と同様、CM 2(小学校5年)になっておこなわれる。
これらの条文をよく理解すると、必然的にクラスで討論となる。なぜならば何人かの生徒は、自分と家族がこれらの権利のすべてを享受していないことを証言するからである。教師はこれにたじろがず、この際「理念の助産婦」、「調停者」としての権限を発揮すべきである。すなわち何らかの政治的意見を表明することも、現政権の是非を論ずることもすべきではない。例えば「滞在許可書のない」子どもの立場が、第13条*1 に矛盾することに言及した場合、事実を確認することで討論を締めくくり、その解決は法律に委ねられることを指摘する。さらに法律は「国民」peupleの代表によって採決され、生徒たちもいずれは「国民」になるということを想起させることもできる。
このようにして、これらの権利の保証についての考察が導入される。すなわちどのような制度が、このような権利を各人に保障するのか?その答えは政治的なものであり、フランス革命の歴史および市民教育に関連してくる。
人権宣言についての学習の目的は、子どもたちを世界史の中に組み入れ、生徒が考えたことさえなかったような状況に戸惑うことがないようにすることである。生徒に馴染みのない「万人は」、「何人も」、「各々は」といった人称代名詞が繰り返される宣言の文体が、宣言の厳粛さを表すものであることを理解させなければならない。
*第13条
1.万人は、各国の境界内において自由に移転および居住する権利を有す。
2.万人は、自国その他のいずれの国をも立ち去り、および自国にかえる権利を有する。
*2 国民Peuple
ここでNationを使わずにPeupleを使ったのは、Nationが代表を選ぶ機能としての国民を意味するのに対して、Peupleが主権をもつ国民を指すからであると思われます。
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